JINDAIJI MOUNTAIN WORKS

2024/12/30 16:34

時の流れに身を任せていたら2024年もあと僅か。今年もJMWで日本全国、営業に行かせてもらいました。そんな中でも記憶に残るツアーが今年の6月に行ったムーンライトギア福岡とブルーラグ鹿児島を自転車旅を絡めて繋いだ九州ツアー、その名も”行商ライド博多to鹿児島”。しかし、そんなツアーの記録をほとんど残していなかった事に今更気づき、健忘録を兼ねて2024年5月17日から5月27日までの10日間の旅の記録をJMW Blogに記しておく事にしました。


色々と記憶も薄れてきていますが、写真とテキストで綴る博多から鹿児島までの400km自転車旅。皆さんの九州バイクパッキングの参考になれば幸いです。それではスタートです。




「行商ライド」という概念は名古屋のバイクギアメーカーの「Welldone」のイノッチが作り出した概念。読んで字の如く、自転車に商品を積み込み行商をする、という、シアーズ・ローバック社のカタログ通販を開始する以前に戻る、実にプリミティブな営業スタイル。しかも仕事と遊びを同時に行える、という実にタイパとコスパの良い営業スタイルでもあります。最近だとRipaのヒロエ君も行商ライドを行っていたりしますが、我々、古参なクラフトギア業界でも一部しか行っていない特別なスタイルでもあります。


旅をしながら商売をする、しかも自分の足でペダルを踏んで。これこそガレージメーカーの販売スタイルであり”僕もいつかは行商ライド”と思っていました。そして2024年の春、ついにその時がやってきました。


九州にあるムーンライトギア福岡とブルーラグ鹿児島を行商ライドで繋ぐ九州ツアー。博多から鹿児島までの400kmを5日間で踏破する九州縦断バイクパッキング。

フルパッキングのバイクとはいえ、1日80kmペダルを踏めば1週間で博多から鹿児島まで到達できそうな良い距離感じゃない?


そんな旅の相棒はJMWのプロダクトマネージャーあゆみちゃん。彼女の自転車も僕と同じサーリー・クロスチェック。20歳の頃に手に入れてから既に10年以上も乗り続けていて、ヘッドパーツにChris Kingを入っていたり、Brooksのサドルは地形の様に波打ち、飴色になるまでしっかりと嘗めされ座り込まれている。実は彼女、僕よりもクロスチェック歴は長いのだ。


そんな僕らのバイクパッキングのスタイルはULバイクパッキング。フルパッキングの自転車で旅する西海岸スタイルもカッコいいけれども、陸地が狭く、急峻な山と峠に囲まれた日本の道路事情。そのまま西海岸スタイルを輸入しても日本のバイクパッキングでは快適ではないし、やはり、ULハイキングと一緒で日本の環境に合わせて道具や装備はチューニングをしないとリアルな旅では重荷になってしまう。そんなアメリカンなスタイルの良い所を日本の環境や道路事情に合わせていく作業。これはULハイキングを輸入した時にも行った作業であり、まだ正解のない、手探りで作り上げていく楽しさがある。


過去に台湾をバイクパッキングで2週間掛けて縦断した経験や、北海道大雪山をぐるりと回った自転車旅でも実践してきた、飛行機や電車移動などの輪行を前提にした日本のバイクパッキングスタイル。アップダウンを繰り返し、いくつもの峠を越えて目的地に向かう為には、如何に軽快にペダルが踏めるか、という事がキモになる。重い自転車は軽快さがスポイルしてしまう。時折、現れるグラベルも重い自転車では苦痛でしかないのだ。


グラベルよりも舗装路。僕は自転車旅は軽快さは最優先したい。グラベルならバイクパッキングではなくマウンテンバイクで楽しみたいのだ。


そこで行き着いたスタイルは「ノーラック、ノーパニア」。とは言っても小さなラックは使うけど。輪行で自転車から外す必要がない程度のラックは、フレームの一部、として考える。


僕のラックセットはフロントは取り外しが簡単なJack The Bike RackにWald137。リアはCarradice Classic Saddle Rackと迷ったけれども強度的な安心感を求めてCarradiceのBagman。



Jack The Bike RackにWald137をVoile Strapで固定



アユミちゃんのセットはフロントがSimWorksのお弁当ラック、リアは日東のErlen Saddle Bag Support。




自転車に装着する運搬装備も荷物も最小限。荒野の無補給ジープロードを走ることもないので水も食料もコンビニで現地調達。着替えだって最小限。着替えはコインランドリーを活用すれば荷物も減らせる。


Wald137の前カゴにX-PacでMyogったロールトップサックとJMWの新製品のサドルバッグ”RTB”のプロトモデル(この旅はJMWの製品テストも兼ねていたのだ)。これにPB TarpとPB Hammock。そしてHillbilly Pot550&350set。それらに寝袋と最低限の着替えを自転車に詰め込み、僕らは福岡空港に降り立った。



自転車を受け取り空港の出口に向かう。僕はフェアウェザーの輪行バッグ。あゆみちゃんはJMWのPB Train Bike Bagという輪行バッグ(プロト)。軽量な輪行バッグで行う飛行機輪行でもミニマムなラックセットは袋から飛び出す事もなく収まっている。JMWのサドルバッグ”RTB”はウエストハーネスを装備しているので(取り外し可)機内持ち込みも移動もOKなのだ。


エントランス脇まで自転車を運び、輪行バッグを脱がして破損が無い事を確認し、難なく自転車を組み上げた。空気圧の関係でタイヤの空気を抜いてあるのでポンプでエアを入れようとすると何故か携帯用の空気入れホースがない。博多鹿児島のバイクパッキング装備としてムーンライトギアの店舗送りの荷物に入れていた事を後で思い出した。いきなりのトラブル。


まぁ、旅なんてそんなもの。仕方ないので近場の自転車屋さんまで押し歩く。



「仏式は無理だねぇ」


「…」



空港近くの自転車屋さんは街の自転車とバイクの修理を生業にしているお店で僕らの自転車は対応してもらえなかった。



ちょっと離れたところにある「サイクルベースあさひ」を見つけて3kmほど自転車を押し歩いた。

大学生というバイトの男の子に事情を説明すると、表のポンプをお使いください。お代は入らないですよ、と言われた。


「九州縦断ですか?楽しそうですね。あ、2台ですか?それならこっちのコンプレッサーでエア入れルト速いんで、自転車を中に入れて下さい。クロスチェックですね。こっちではあまり走っていないですが良いフレームですね。あ、ブレーキが少し甘そうなので調整しときますね」


旅に出ると謙虚になれる。故に人の優しさを受ける事ができる。ありがとう。これぞ旅。これだから旅は素晴らしいのだ。(まだ自転車にも乗れてないけど)


空港に降り立ってから2時間ほど経ってしまったけれども、ついに2台のクロスチェックは翼を得て、福岡の風となった。




軽快に踏んだ先はラーメン屋。僕らは朝から何も食べていなかった。自転車のチェックも兼ねてクルージングしながらサイクルショップあさひに一番近いラーメン屋の暖簾を潜り、臭旨い豚骨ラーメンを啜った。僕らは地元のおじさんの食べ方に倣い、ラーメンに摺り胡麻をたっぷりと掛け回した。



空港に戻り、博多市街へ向かう。一旦、宿に荷物を置くと、明日から2日間の営業でお世話になるムーンライトギア福岡店まで自転車を漕いだ。




Vol.2に続く。