2024/11/02 18:00
福島タイフーン2日目突入。 猪苗代湖を目指して山こえ雨こえトンネルこえて 台風との追いかけっこもまだまだ続くよどこまでも 流石に今日はお風呂に入りたいぞ まだまだ行くぜの第3回! ビー玉みたいに綺麗で大きい雨粒が桜色の屋根をトランポリンのように跳ねて、音を立てていた。 いやはや風情のある目覚ましだなぁと思いながら、体を起こし大きくのびをした。 8月15日AM4:53 隣を見るとバグネットを被った天使のような寝顔のミホさん(やんごとなき人生の伴侶)がぐーぐーと寝ている 5時になったら起こすか…と思ってもう一度ミホさんを見ると大きな目が開いていた 「よく寝たわ」 彼女も猫のようにぐい〜んと体を伸ばして起きてきた。 夜は25℃前後だったようでエマージェンシーシートをかけて寝るくらいでちょうど良かった 昨夜の宴会はどうやら片付けをせずに寝てしまったようだ 僕らはトレイルでは朝起きて行動するまで2時間かけて準備する いや、2時間かかってしまう そもそもせかせかすることが嫌いなぼくら。 急ぐ必要のないように早く起きて、体操をして体の異変がないか確認する。 それからゆっくり朝ごはんを食べてから出発するようにしている 自由な旅で急ぐだなんて勘弁してくれ! そんなこんなでゆっくりのっそりタープの外に出ると清々しいほど雨が降っていた。 「おはよう!台風!」 そそくさとタープに戻ろうとすると、小さいカタツムリがタープの上をゆっくりのっそり足跡をつけながら歩いているのが目に入った。 「ふうむ。趣きがありますねぇ」 と気取っていると、みほさんのペダル(Blue lugオリジナルの交通安全パンダペダル!)にはアマガエルがちょこんと居座っていた。 「仁井田本家といえばカエルだからねぇ。私たちの旅の安全祈願をしてくれている!」 「ようし‼︎今日もラブアンドピースで行っちゃうぜ‼︎」 ぼくらが歯を磨いている最中に重たい雲はどこかに消えていた。 この日は郡山を出て、さくら湖を経由して三春町へ。 それから東へ向かい、日和田、喜久田、三森峠を越えて猪苗代湖で優雅な湖畔キャンプの予定だ。 「兎にも角にも…温泉に行こう!」 なんてお昼のドラマのタイトルみたいな事を言い出したミホさんはおもむろに温泉を調べ始めた。 「むむ?ぬる湯旅館なるものは良い波動を感じる。」 とぼくのうさんくさい提案にまんまと引っ掛かったミホさんとぬる湯を求めてペダルを漕いであっさり到着し、挨拶をして旅館に入ると奥から女将が出迎えてくれた。 この佇まい…乙‼︎ 「すいません…この時間は日帰り風呂はやってないんです。まだ10時なので…」 と、女将。 当たり前だ。この時間帯に日帰り温泉を解放している旅館は珍しい。 でもぼくらは諦めるわけにはいかないのだ!! 「へへへ…そうですよね。ぼくら自転車で東北を旅してて…。へへへ…。」 とぼくはヘラヘラしながらも少し粘ってみる。 「しょうがないですね…。今回は特別ですよ!」 なんて展開を期待したそこのあなた!なかなかそんな事はそう簡単に起きるはずもない。 何かとお目当てのお店にフラれてばかりのぼくらは落ち込むまもなくペダルを漕ぎ出した。 わはは!旅なんてこんなもんですよ! 空はパァーと晴れているのに喜久田でパッとしないラーメンを食べてしまい、サッと喜久田を後にしていよいよ猪苗代湖を目指した。 峠をえっちらほっちら登っていくと、ラッキーなことに温泉があったので一目散に湯船に駆け込んだ。 露天風呂に入っていると物凄い地響きが鳴り始めた。 地ならしを始めたのかエレン……ではなく雷だ。 集合時間より早めにお風呂を上がると、ミホさんも危険を察知してかほぼ同じタイミングで切り上げてきた。 「さぁ!急げや急げ!台風がくるぞ〜!」 念の為、レインウェアを着て猪苗代湖に向けて飛び出した。 斜度のある峠を長いこと走り、いくつものトンネルを潜っていった 長いトンネルって最高だ! インディージョーンズ気分だって気軽に味わえちゃうとぼくは思っている。 音痴なぼくが大声ではしりこみーずを歌ってもクレームはこない。 長いトンネルは出口が見えず、なぜか足元がしとしと濡ている。 いるわけもないのに天井にぶら下がって赤く目を光らせたコウモリなんかがこちらを見ているような気分になる。 反響してよくわからなくなった車の音はモンスターの雄叫びにさえ聞こえてくる。 ああ。親愛なる長トンネルよ。このまま終わらないでおくれ… なんて謎のセンチ状態になっているとトンネルの出口が見えてきた。 大雨だった。 地響きを鳴らしていた台風に追いつかれてしまった。 が、事前にレインウェアを着ていたぼくらはニヤっとほくそ笑んでノンストップで猪苗代湖を目指した。